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第10話:むじなの変化


 
 

むかし、上磯部の南のはずれに「まんじ屋」という酒屋がありました。そこへ、鎌倉の建長寺の僧と称する一行が一夜の宿を取りました。何しろ「した―に、したーに」という触れ声もいかめしく到着したので、まんじ屋は下にもおかぬ丁重なもてなしをしました。
 やがて夕刻になり、一行のかしらの僧が風呂に入ることになりました。僧が風呂に入るところを絶対に見てはならぬというお触れが出て、まんじ屋では紅白の幕を張り巡らせて、だれもそばに近づけないようにしました。
 しかし、風呂に入っている時間があまりに長かったので、見てはならぬといわれていても、誰もが見たいという好奇心が頭をもたげてくるのは世の常、女中の一人がそっと幕を上げて中に入り、戸の隙間からのぞいて見たのです。
 なんと、大きな長い尻尾が湯船の中をぽちゃぽちゃと行ったり来たりしていたのです。尻尾の主はむじなでした。「まんまと人をだますとは憎い畜生だ」と腹を立てましたが、ここでむじなを懲らしめると、まんじ屋にタタリがあるといけないので、何気ないふりをして、翌朝無事に一行を送り出したそうです。

 
座間美都治
相模原民話伝説集より