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第25話: 行人塚

  むかし、上鶴間の谷口にひとりの男が住んでいました。男は日がな一日考え事をしていました。そしてすっくと立ち上がるとぽんと手を打ちました。「よし、俺 は修行をする!そして国持ちの大名になってみせる」と叫ぶと、何を思ったか、傍らにあった鍬を振りあげ穴を掘り始めました。
  穴は人間が一人座っていられるぐらいの大きさになりました。そして蓋を作りそこに節を抜いた竹筒をさし、息ができるようにしました。男は用意していた鉦 を持って穴の中に入り、上から器用に土をかけ、そこに座ってて鉦をたたいて念仏を唱え始めました。男の言った修行とはこれだったのです。男は一心不乱に鉦 をたたいて念仏を唱えていました。
  そこへ馬を引いた馬子が通りかかりました。どこからともなく鉦の音と念仏の声が聞こえてきます。あたりに誰いないので変に思い、たどっていくと地面から 竹筒が突き出ていて、そこから聞こえてきます。馬子はまさか中に人間が入っていると思いませんから、竹筒に泥を詰め込んで行ってしまいました。穴の中の男 は、かわいそうに息が出来なくなって死んでしまいました。

座間美都治
相模原民話伝説集より