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第21話: アズキとぎ婆


アズキとぎ婆  鳩川の水源付近の上九沢と下九沢の鳩川谷は、むかしからいろいろなお化けが出ました。
石橋部落の東側は、こんもりと樹木がおいかぶさって、昼間でも薄暗く、鳩川の流れる音だけがさらさらと聞こえるだけで、不気味な感じのするところでした。ある日、 通りかかった旅人が、汗ばんだ顔を拭こうと流れのよどみに手ぬぐいを湿らせようと、ふと、さらさらと音のするほうに目をやりました。 そのとたんに、今拭こうとしていた汗がさっと引いてしまったのです。 白髪を振り乱したお婆さんが、恐ろしい顔をこちらに向けて、アズキをといでいたのです。 流れの音だと思っていたさらさらという音は、アズキをとぐ音だったのです。 「旅の人、今夜はうちに泊りますかな?」 旅人はその声がまだ終わらぬうちに、一目散に逃げ出しておりました。   それは「アズキとぎ婆」というお化けだったのです。
 
あずきとぎ婆の話はあちこちにあるようで、津久井の谷津川の水車ところでも「ざくざく」とアズキか米をとぐ化け物がいたといいいいます。人をばかす、 狸か狐の仕業だといわれています。 
 

 
座間美都治
相模原民話伝説集より